【ケース別解説】タンス預金相続開始・ 名義預金を相続税で正しく申告する手順

目次

  • ケース① 自宅に現金を保管していた場合(タンス預金)
  • ケース② 子や孫の名義で預金をしていた場合(名義預金)
  • 名義預金と判断される主なポイント
  • ケース③ 相続人自身が把握していない財産がある場合
  • 正しく申告するための手順まとめ
  • まとめ
  • ■申告が必要か迷ったら、まずは専門家へご相談を
相続税の申告において、意外と見落とされがちなのが「タンス預金」と「名義預金」です。これらは相続人が気づかないまま申告漏れをしてしまうケースも少なくありません。

結論から申し上げると、タンス預金・名義預金も相続財産に含まれ、きちんと申告する必要があります。では、具体的にどう確認し、どのように申告していけばよいのでしょうか。以下では、ケース別にその手順を整理してみましょう。

ケース① 自宅に現金を保管していた場合(タンス預金)

まず確認すべきは、自宅の金庫や引き出しに現金が残っていないかという点です。亡くなった方が生活費とは別に保管していた現金は、そのまま相続財産となります。

・金額にかかわらず、把握できた現金は申告対象です。
・たとえ「生活費として使う予定だった」としても、亡くなった時点で残っていれば財産に含まれます。

参照:国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」

ケース② 子や孫の名義で預金をしていた場合(名義預金)

次に注意すべきが、名義預金です。これは、形式上は相続人の口座であっても、実質的には被相続人の資金で作られた預金を指します。典型的な例は以下のとおりです。

・祖父母が孫の口座を開設し、入金を続けていた
・生活費の範囲を超える額を子供の口座に移していた
・通帳や印鑑を被相続人が管理していた
名義預金の典型例

名義預金に該当するかどうかは、次の要素を総合的に見て判断されます。

・預金の資金を拠出したのは誰か(被相続人の資金かどうか)
・預金通帳・印鑑・キャッシュカードなどを誰が管理していたか
・預金が実際に誰のために使われていたか
・子や孫への入金について、贈与の意思があったか(贈与契約の成立)

参照:国税庁「被相続人以外の名義の財産(預貯金)」

ケース③ 相続人自身が把握していない財産がある場合

意外と多いのが、相続人が知らなかった財産の存在です。

・自宅や倉庫から現金が見つかる
・銀行に残高照会をしたら想定外の口座が出てくる
・遺族が管理していない通帳が後日発見される

このような場合でも、申告期限(相続開始(死亡日)から10か月以内) までに把握できた財産はすべて申告しなければなりません。

正しく申告するための手順まとめ

1.自宅の現金を確認:金庫やタンスの中を必ずチェックする
2.銀行口座をすべて洗い出す:相続人名義も含めて残高証明を取得する
3.入出金の流れを確認:誰の資金で預金されたのかを整理する
4.怪しい財産は専門家に相談:判断に迷う場合は税理士へ

まとめ

タンス預金も名義預金も、被相続人の財産とみなされれば相続税の申告対象です。申告漏れがあれば、税務調査で発覚し、過少申告加算税・無申告加算税・延滞税が課されるリスクがあります。

正しく申告し、将来の相続トラブルを防ぐことが、ご家族の安心につながります。

■申告が必要か迷ったら、まずは専門家へご相談を

相続税申告は専門的な知識や判断が求められる場面も多く、ご不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。
当事務所では、お一人おひとりの状況に寄り添い、丁寧にサポートいたします。
相続税の申告が必要かどうか迷われた際も、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事を監修した人
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税理士法人向田会計 代表社員 向田靖

向田会計は群馬県桐生市を拠点として、相続・贈与申告で年間50件以上の実績を持っています。満足のいく相続解決に向けて、常にお客様の立場に立った視点でサポートしております。
創業(1970年)からの経験と知識を、皆様のお役に立てるよう精一杯発揮し、より円滑な相続の解決と相続・贈与の申告を心掛けております。